撮影:佐藤拓実

井口健 様

 拝復、お返事遅くなってしまいもうありません。全国的に大雨に見舞われていますが、「蝦夷梅雨」はいかがでしょうか。僕はこれから来る夏の暑さを想ってすでにうんざりしています。

 足跡について、井口さんの意図がよくわかりました。井口さんが語っていらっしゃるように、百年記念塔は井口さんのお若い頃の作品ですが、オペラハウスや様々な先達の建築を学ばれた蓄積から計画されたことを思い出しました。

 井口さんのおっしゃる開拓のイメージ、共感します。「北海道の自然風土の厳しさ」と「開かれた後の雄大な壮快さ」、いわば自然と人間のせめぎ合いとも表現できるでしょうが、この相反するイメージの同居が北海道の物理的な広さでもありましょうし、風土の豊かさと言えると思います。このイメージは北海道内でも、道外や海外でもかなり共有されているものと思いますし、そのイメージは百年記念塔にも似つかわしいと感じますが、いかがでしょうか。

 井口さんのルーツのひとつは徳島にあるのですね。ご家業が建築の道へと進まれるきっかけになったとのこと、とても興味深いです。

 私が美術の道へ進んだきっかけは、今思えばまわりから褒められたりだとか偶然コンクールに入っただとか、小さな出来事の積み重ねでした。

 井口さんは少年時代、どのように過ごされましたか?やはり手先は器用な方でしたか?今金でお生まれになって建築へ興味を持つようになるというのは、意外な気もいたします。

 建築家を志されるまでのエピソードなど、もう少し伺ってみたいです。

 よろしくお願い致します。

敬具

2020年7月23日 長雨の東京から 佐藤拓実